社会人に多い不安障害:不安を乗り越えるためのアプローチとは?
目次
- 1.社会人に多い「不安障害」とは?
- 2.不安障害とは
- 3.不安になった時の脳の状態
- 4.不安を乗り越えるためのアプローチとは?
- 5.まとめ
ビジネスでの取引先との商談やプレゼン、上司への報告など、緊張するようなシーンにおいて、強い不安を感じてしまうことは誰にでも経験があるはずです。
しかし、誰もが感じるよりも、より強く不安や恐怖を感じてしまい、仕事だけではなく生活においても支障をきたしてしまうような方がいらっしゃいます。
そのような症状のことを『不安障害』と呼んでいます。 心と体にさまざまな変化が生じ、リラックスできなくなったり、強い恐怖感によって人前に出られなくなったり、予定が近づくだけで体調を崩してしまうこともあるのです。
1.社会人に多い「不安障害」とは?
そもそも『不安』とは、私たちに備わっている防衛本能のひとつで、不安に感じることによって危険を察知し、備えや回避などの行動に移せるようになります。
ただ、この不安が過剰になってしまうと、危険や危機ではないシーンまで心配や恐怖が強くなってしまい、会社に出社できなくなることや、不安になるたびに体調を崩してしまうなど、社会生活に支障をきたします。
ではなぜ、このような過剰な不安が生じてしまうのでしょうか。不安障害の概要とともに、不安になった時の脳の状態についてご紹介いたします。
2.不安障害とは
不安障害は症状によって、いくつかの障害に分類されているため、下記にその代表的なものを紹介していきましょう。
■全般性不安障害
会社や人間関係、日常生活など、さまざまなことが気になるようになり、強い不安や心配を抱えたままリラックスできない状態となってしまいます。
■社会不安障害
社内や取引先へのプレゼン、上司との面談、周りから注目される場面などで強い不安と緊張、恐怖を感じるようになり、強い苦痛となってしまいます。
■パニック障害
突発的に生じた不安によって、心拍数が上がり、息切れがして苦しくなることや、めまいが生じて気が遠くなってしまい、「死んでしまうのでは」といった恐怖を覚えてしまいます。
3.不安になった時の脳の状態
不安や心配、恐怖を強く感じたとき、脳のさまざまな部位に変化が起き、活動が活発化することが知られています。
まず、『扁桃体』と呼ばれる領域が活性化されます。
扁桃体とは、脳の側頭葉内側の奥に存在する神経細胞の集まりであり、アーモンド(和名:扁桃)のような形をしていることから、そのように名づけられました。
ストレスに対して重要な役割を持っており、特に不安や恐怖といったネガティブな感情に対して反応すると、ストレスホルモンが分泌されることが分かっています。
このような変化については、不安や恐怖の度合いによっても異なり、特に不安障害を抱える方はより活発になり、血圧や心拍数の上昇、自律神経の乱れといった症状が現れるようになります。
その変化に伴って、動悸や手足の震え、吐き気などといった、不安障害で生じる身体症状となるのです。
不安障害でお悩みの方の中には、「自分の心が弱いから」「甘えてちゃダメ」などと考えがちですが、上記でもお伝えした通り、自分の弱さや甘さではなく、脳のメカニズムによるものです。
そのため、まずは自分を必要以上に責めてしまうのではなく、どのようなメカニズムで不安障害が起きるのか、正しく理解して対処する必要があります。
4.不安を乗り越えるためのアプローチとは?
不安障害でお悩みの方の中には、「自分の心が弱いから」「甘えてちゃダメ」などと考えがちですが、上記でもお伝えした通り、自分の弱さや甘さではなく、脳のメカニズムによるものです。
そのため、まずは自分を必要以上に責めてしまうのではなく、どのようなメカニズムで不安障害が起きるのか、正しく理解して対処する必要があります。
不安障害に対するアプローチは、おもに薬物療法とカウンセリングが中心に進められていくことになります。
薬物療法は、症状に対する対処療法として行われるもので、うつ症状や不安、恐怖心が強い場合には抗うつ薬や抗不安薬が用いられ、うまく眠れないようであれば睡眠導入剤などが処方されることになります。
医師による診察のことをカウンセリングと呼ぶことがありますが、あくまで薬物治療で処方するための判断材料のひとつとして行われるものであるため、カウンセラーが行うカウンセリングとは役割が異なります。
カウンセリングにおいては、心理療法を中心として症状の根本解決を目指し、こころと体をリラックスさせる取り組みが行われます。
悩みを聴く中で考え方のクセや傾向を掴み、なぜ不安障害が現れてしまったのか根本原因を解明し、対処していきます。 さらには、自分のペースで少しずつ苦手なモノや場所に慣れるようにし、症状を繰り返さないメンタル作りに取り組む中で、自信を取り戻していくのです。
5.カウンセリングが不可欠な理由
不安や恐怖心によって心身に不調が起きた場合には、メンタルクリニックで治療が必要だとお考えの方は多いでしょう。
ただ、薬物治療に対して不安を感じている方や受診したくないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
上記でもお伝えした通り、必要に応じて適切な薬を服用することは症状の改善を目指すためにはとても重要です。
ただ、症状が現れた根本原因は心理的な問題や課題を解決しなければなりませんので、薬物療法だけですべてが解決するかというと、それは難しいと感じています。
不安障害に対するアプローチは、カウンセリングと薬物治療が両輪を担っており、根本的な解決を目指し、再発を予防するためにはカウンセリングが不可欠です。
脳の扁桃体は、ネガティブな感情を強く記憶してしまうため、薬物治療で症状が良くなったとしても、「また症状が起こるのではないか」と恐怖心が沸き起こってしまうからです。
そのためカウンセリングは、扁桃体をケアし、否定的な思考傾向を肯定的・積極的に捉えられるように感情を整え、自分の力で対処できるように目指していくのです。
6.まとめ
私たちは、不安や心配を感じることによって危険を察知できますが、過剰になってしまうと恐怖になり、仕事や生活に大きな影響を及ぼします。
自分の甘えや弱さだと捉える方は多いですが、不安障害は脳の扁桃体の活性化が原因であるため、問題の解決には扁桃体のケアが必要です。
そのために、症状に応じて薬物治療で対処療法を行い、カウンセリングによって根本原因を突き止め、思考傾向を改善して再発を予防しています。
不安障害でお悩みの方は、当ルームで根本対処が可能なカウンセリングを提供していますので、ぜひご相談ください。